【コラム】ショールーミング・ウェブルーミングの時代の実店舗の在り方について
こんにちわ、LIME ON DISHマネージャーの志手です。
今回のブログから新たなシリーズとして僕自身がその時その時で思うアパレルにまつわるアレコレを私的なコラムという形で綴っていきたいと思います。
ECサイトからスタートしたアパレルビジネスの未来とは
アパレルの仕事に従事して早いもので30年。1990年代半ば頃から今年は2025年。移り変わりの激しいファッション業界、とくに90年代~2010年代は流行もシステムもめまぐるしく変化した時代だったように思います。
情報の入手が雑誌、テレビのメディや実際に買い物に行った先のショップの店員さんだったりといった限られた機会だったのがいまや手元のスマホで24時間どこにいても情報は入手できるようになりました。検索エンジンによって調べる情報だけでなくSNSを開くことによって自動的に視覚に飛び込んでくるものまで、もうホント情報化社会ってやつがスタンダードになりました。
アパレルに関しては『買う』という行為も大きく様変わりしました。音楽や映像と違いデータ化できない洋服はインターネットによる購入が定着するには多少時間がかかると思われていましたが奇しくも世界的なコロナ禍の影響によりハイスピードで定着。いまや返品などのハードルも低くなり新品、古着問わず当たり前の選択肢になっています。また、アプリなどによる個人売買CtoCの隆盛も拍車をかけているのではないでしょうか。
ECサイトLIME ON DISHも丁度コロナ禍前からスタートし、はからずもそのような時流に乗り成長してきた側面もあります。
そして現在2025年。
ショールーミング、ウェブルーミングといったワードを頻繁に耳にするようになってきました。ご存じでしょうか?
僕自身は2023年ごろからECサイトの先の展開を見据え「売らないお店」というコンセプトに注目してきました。これがいわゆるショールーミングというやつです。
長年アパレル店舗を経営していた方が時代の潮流に乗りECサイトをスタートするといった流れでなく、LIME ON DISHはまずECサイトからスタートしました。当初よりこだわった商品セレクトを心掛け、ブランドの背景や細部のディテール、見合った価格などに重点を置いて国内外から選りすぐりのアイテムを仕入れていましたが、取扱商品数が増え、認知度が上がっていくにつれ実際に商品を見たり試着したりすることはできないかというご要望をいただくようになりました。
そういった要望に応えるべく2023年にオフィス内においてショールームという形で一角を応接できる仕様にしたりと試行錯誤してきました。一定の評価と成果を上げたたのですが、それ以上にオフィス内の一角で行うことに対するデメリットも顕在化。なかなか理想のビジネスモデルとはいえない状況でした。
最適な物件との出会いによる本格的ショールーミングのスタート
2024年の秋に偶然、今現在実店舗として運営しているLIME ON STOREの物件との突然の出会いがありました。ここからが思い描いていた「売らないお店=ショールーミング」の本格的なスタートです!ま、実際は売るんですけども。
条件として探していた物件は
・僕自身が一人で在店して対応できる適度な狭さ
・オフィス、商品倉庫から徒歩数分の近さ
・外を歩いている人が認知できる路面
この条件に合致する物件が現在のLIME ON STOREです。まず、ECサイトで扱っている商材はかなりの種類があり、初めからフルラインナップを展開することは考えていなかったので一人の目が行き届く丁度いい狭さ。また、そのようなスタイルですが、ショールームとしての機能を持たせるため店舗に商品が無くてもお客様の希望に合わせてすぐに商品を持ってこられる倉庫との近さ。そして往来を行きかう地域の人の目に留まるための路面店。この3点が必須条件でした。
また季節に合わせたイベントや提案ブランド、強化商品への入れ替えが容易という点もこの条件が必須だった理由です。
では、このたった7坪ほどの狭い店舗の役割とは?
インターネットにてほしい商品を探しているお客様が当サイトに行きつき商品に興味を持っていただいた際にどうしても素材感や色味、サイズ感を実際に確認したい方がいらっしゃった場合、その要望に応えられるのが実店舗でありショールームとして全商品を手に取っていただけることができるこのスタイルなんです。
また、路面であることにより初めて来店していただく方に対して、ECサイトの存在を紹介し、より興味を持っていただく。結果としてECサイトで購入するという形でもOK。実はこれがショールーミングという行為。実際に店頭で実物を確認して買うのは自宅に帰ってから吟味の上ネットで買うという、いくつかのサイトでの値段比較や必要性の確認など、堅実に購入される方が選ぶ手法ともいえます。
このショールーミングの真逆の行動がウェブルーミング。まず先にネットで調べて知る。そこから店舗があるなら行って実際に見てみようと思い来店。店頭で実売につながるというのがウェブルーミングです。
買う『前』か『後』かの違いはありますが店頭に一度来ているという点はどちらも同じ。ただショールーミングについては他サイトとの比較により値段負けやポイントの優位性などで負ける機会ロスの可能性もありますね。この点に関してはどのように対応していくべきかまた別の機会に考えを伝えたいと思います。
ショールーミング・ウェブルーミングにおいてはグロスでの判断がカギ
自分が良いと思えるものをセレクトして感覚を共有していただけるお客様に届けたい。その輪を広げていけるサイクルの形成のためにやはり成長は必然。
おかげさまでLIME ON DISHのECサイトは6年目を迎え、次の節目10年目を見据えた計画を立てて実店舗のスタートや今後の新たなプロジェクトを試行錯誤しています。新しい現代の購買行動といえるショールーミングやウェブルーミングに対応するため間口は広げ準備を整えていますが、ECサイト、実店舗それぞれが独立した事業ではなく相互に良い影響をもたらすための販路と考えているので大きい枠組みによるグロスで判断していかなければいけないのではないかと思っています。
実際STOREにはECサイトで知った商品を見たくてご来店いただき購入されるケースも多く、またその逆は確定数値としてはわかりにくいのですが売り上げの推移を見るに影響はあるように思えます。PRの増加などの要因も含めてですが、それもやはり効果的だったということではないかと思います。
この先は独自性が問われる時代かも
先にも少し触れましたが、ショールーミングに関しては問題点もあります。他サイトとの値段比較による機会ロス。ポイントシステムの優位性もお客様は敏感ですよね。そうなれば、比較されるようなどこにでもあるような商品ではなかなか難しい。やはりこれからの時代は比較されないような独自性のある商品が重要なカギになってくるのではないでしょうか。
ではその『独自性』はいったいどうやって出していくのか。これはなかなか誰でも一朝一夕にできることではありませんよ。
具体的な考えはすでに進めているプロジェクトも含め、次回のコラムでお伝えできればと思います。
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